止まない雨。 
  

 ある日、怪我をした。怪我名は、骨折。それも足。
 大怪我と言えば大怪我。多分、他人の立場であれば
 真っ先に大怪我と認めるもの。でも、自分でやった時は
 そうは思わなかった。歩きづらい、そう思っただけ。
 

 怪我をして2ヶ月。舞台が一つ迫っていた。
 内容は、3年生を送る会。ちょっとした舞台。
 小さなもの。でも、やっぱり一つの舞台には変わりない。
 怪我をしたのが1月。舞台は3月。骨折といえば完治に3ヶ月はかかるから
 無理だと言えば、無理だった。でも、どこかで思ってた。出られるんじゃないかと
 思っていた。毎日皆が練習しているのを見ながら、自分もあの中に加わりたいと
 そう思っていた。いや、願っていた。


 2月。舞台も近くなった頃。その頃になると、足もあまり痛まなくなり
 練習にはまだ入ることはできなかったけれど、家でこっそりと練習したり
 していた。大丈夫そうだ、そう思っていた。そしてある日、先生から言われた事は。

 「今回の舞台は、諦めない…?」

 とても言いにくそうにしていたのを覚えている。
 でも、一言一言諭す様に言ってくれた。その足では無理だから、と。
 言い方を変えても、言われてることは同じなのにね。でも、それが
 その先生の優しいところだったから。そんな予感はしていた。
 でも、認めたくなかった。だって認めてしまったら、今まで私が
 してきたことが、無駄になってしまうような気がしたから。
 

 言われて、涙が溢れてきた。先生や友達が心配してくれて
 なんとかその場は踏みとどまった。帰りに、いつもの様に
 父に迎えに来てもらった。その足では電車で帰るのは無理だからと
 いつも迎えにきてくれていた。その車に乗って自宅へ向かっている途中
 また涙が溢れてきた。電車に乗って、一人で帰れもしない。
 こんなことで舞台に出て、ましてや踊ることなんてできやしない。
 先生に言われた時は止められた涙。でも今度は止められなくて。
 情けなさと悔しさで後から後から流れてくる涙を、半ばヤケで流れるままにしておいた。
 

 フロントガラスには雪がちらついていた。とても、寒い日だった。




 経験より。
 実際にあったことだから笑えない…。
 完璧な悔し泣きでした。でも泣きながら、これはネタになるな
 とどこかで思いました。いや、泣き止んだあとだったかな…?
 後者だったらまだしも、前者だったら何考えてんだ自分…です。
 でも、あの時の悔しさは今でも覚えてます。今でも泣けるくらい
 覚えてます。本文中の 情けなさ と言うのはあれですよ。
 出たい出たいと思ってて、無理だと言われて、その言葉がまだ信じられなくて
 父のお迎えによって、自分自身に知らしめられたわけです。
 ごめんね父さん、迎えにきてもらってたのにこんなことばかり
 考えてる娘で(笑)そのぐらい悔しかった、舞台に出たかったってことで
 勘弁してください。あ、実際に舞台には出ましたよ?踊れなかったですけどね。
 立てるまで回復しただけまだましかー、って自分に言い聞かせました。


 これで作詞できるんじゃないかって書いてる時思った。
 ってか、長すぎるよあとがき。