ボクはハイトーラ。ルデースで生まれました。
マスターの名前は"スラカ" ボクを作ってくれた人です。
ボクの名前は"キルカ" ハイトーラのキルカです。
・ハイトーラ物語・
目が覚めて彼が初めに見たものは、一面の緑。
若葉をつけた木がしげり、風が吹く度さらさらと葉が音を揺れる。
あぁ、きれいだな。と上を見上げていると、影が視界を遮り緑が
見えなくなってしまった。続いて声が降ってくる。
「あ、気がついた?」
幼いとは言えないでも大人びたとも言えない。少年の声だった。
逆光で相手がどんな表情をしているのか見えないが、声色からして
自分が目覚めるのを待っていたのだとわかった。
彼は目を閉じ、そして頭を組んだ両足の上に置く。眠くて仕方が無かったのだ。
待ってくれているこの少年には悪いが、もう少し寝かせてもらおう。
降り注ぐ日の光が、とても暖かかった。
「あれ…?えーっと、大丈夫なのかな…」
一方、こちらは彼が目覚めるのを待っていた少年。
声をかけて一度は上を向いたものの、また目を閉じてしまった彼に
どうしたものかと困ってしまう。顔の前で手を振ってみたり、声を
かけてみたりといろいろやってみるが、一向に彼が起きる気配はない。
もう一度声をかけてみるかな、と再度彼の顔を覗き込もうとした少年に
背後にいた女性からから苦笑したような声がかけられた。
「まだ、体力が回復していないのでしょう?もう少ししたら起きますよ」
「そっかぁ。んー…、こいつが起きるまで、ここで待たせてもらってもいいです?」
「えぇ、かまいませんよ」
ごゆっくりと微笑む女性に、少年はありがとうと微笑み返した。
ここは、ルデース。緑に囲まれた自然の街。
これは、この地で生まれたハイトーラのキルカと
そのマスター、スラカの物語。