ひまわり
  
 
  太陽がぎらぎらと輝く季節、夏。
 奈落城の中庭は緑が鮮やかな蒼を見せる。
 空からは日差しが降り注ぎ、中庭は一面光にみちる。
 その姿は、己の故郷を思い出させた。

 「暑いですね…」
 
 故郷はこんなに暑くはなかったけど。
 こんなに、緑にあふれてはいなかったけれど。

 
 子供の声がする。
 離れていても聞こえる、楽しそうな笑い声。

 「アレク様ですか」
 
 この城に子供は1人だけ。
 しかも、その子供が現在の奈落王だと言うのだから
 驚きである。金の髪に赤い瞳。その色から敬称戦争時には
 赤の王子という異名で呼ばれていた。
 向こうから自分の名前を呼ぶ声が聞こえる。
 続いて、走ってくるアレクの姿が見えた。

 「アレク様、そんなに走るとこけちゃいますよー」

 一応言ってみたものの、やっぱり走ることをやめない奈落王。
 それどころか、嬉しそうに走ってきて自分に飛びついてきた。

 「っうわ…!」

 なんとか踏みとどまった。もうすこしアレクの助走がついていたら
 危なかったかもしれない。そんなサフィルスを見上げて、アレクは笑う。
 
 「ただいま、サフィ」

 とっても嬉しそうに、楽しそうに笑うから。
 ついこっちも笑ってしまう。なにが楽しいのかわからないけれど。

 「おかえりなさい、アレク様」


 大地に光を送っているのは太陽で。
 でも、自分を見ると嬉しそうに笑う。こっちも太陽。
 
  
  

  自己満足の産物第一弾。
 アレクって誰?サフィルス(サフィ)って誰?
 って感じでしょう。…多分。アレクは元々王子で
 サフィルスはその参謀。アレクには双子の弟がいて
 そちらにも参謀がいます。2人が戦って、強いほうが王様になる
 というゲームなんです。アポクリファ/0って。