カキ氷

 
 シュワシュワとセミが鳴く。
 暦は8月。夏真っ盛り。

 「あっつーい!」

 地面は太陽に焼かれ、じりじりと熱を放っている。
 しかし、ここは日陰。声をあげるほど熱くもないと思うのだが。

 「空気自体が暑いよねぇ…」
 「うん…」

 日陰であっても空気が熱い。しかし、日なたにいるよりはマシなのである。
 ちなみに、今声を上げた少女の名はニモカ。もう1人の少年は、ペックという。
 今2人がいるのはルデースの木陰の中。はじめはマジリタで涼をとろうとしたのだが
 人が多いというのと、何よりも地面が石畳。地面に比べると圧倒的に熱い。
  街を歩いている人間はもちろん、メイトたちも熱そうにしていた。それでも露店街だけは
 にぎわっているのだから、大したものである。

 「そんなにお金儲けしたいのかなぁ…」

 自分の手を団扇代わりにパタパタと扇ぐニモカ。

 「さぁねー」
 
 でもさ

 「こういうものは買えるんじゃないかな」

 そう言ってペックが差し出したのは冷たいカキ氷。
 周りの暑さで溶けてはいるが、まだまだ姿はご健在。

 「どうしたの?このカキ氷」
 「さっきね、水さんにもらったんだ」
 「水ちゃん…?どこに…」

 周りをきょろきょろと見渡してみる。
 少しはなれたところに、不思議なものが見えた。
 下は白く、上が赤い。あれってもしかして…。

 「カキ氷?」
 
 首をかしげるニモカの隣で、ペックが苦笑いをしていた。

 「あれ、水さんなんだって」
 「…え」

 あれのどこが水凰なのか。確かに水凰は赤いシャツを着ているが
 あんな形ではなかったはず。

 「バイトなんだって」

 カキ氷を売るバイト。なるほど、それで着ぐるみなのか。

 「確かに目立つね…」
 
 カキ氷の着ぐるみを着てかき氷を売る。ルデースでなければさぞ売れただろう。
 しかしそれも、あまりの暑さに本人が気絶しなければの話なのだが…。




 リハビリ代わりに1本。ぽんにもよりお題のカキ氷!急遽、水ちゃんとぺくたんに
 出演してもらい書くことが出来ました。二人ともありがとう!そして、水ちゃんごめん!
 セリフさえなくてごめん!今回は堪忍してあげて!