芽生え


 「ねぇ。"大人の女"になるって、どうすればいいと思う?」
 「…は?」 

 飲んでいたお茶を思わず吹き出しそうになるのをなんとか堪え
 たった今とんでもないことを訊いてきたエルフを見返した。
 
 「ニモカは、もう少し大人になった方がいいんじゃない?って
  言われたの」

 その言葉に一度飲み込んだお茶をまた吹き出しそうになった。
 誰に吹き込まれたんだそんなこと…。 
 口に出していなくても目はそう語っていたようで
 ニモカは小さく、春夜ちゃん…と呟いた。
 
 「あいつですか…」

 スラカは頭をかかえた。全くあいつは、余計なことばっかり
 言ってくれる。さてどうしようか。エルフの寿命は長い
 見た目は幼くても、中身はちゃんと成長しているものだ。
 このエルフもまたしかり。性格は子供っぽいのだが
 妙なことに詳しいあたり、年の功というやつだろう。
 それは置いておいて…。

 「あんましそういうことは気にすんなや。お前はお前だろ?」

 ぽんぽんと、頭を撫でてやる。
 女の子が"女"の自覚が芽生える時。それは誰にでも必ず来るもので。
 この小さなエルフ…自分の妹にそれが芽生えてくれたのは嬉しいことだけれど
 でももう少しゆっくりでいいから。せめて自分が、大人になるその時まで。
 
 

 
 ぺくたんこと、ペックさんのHPで連載中のミックス武勇伝から
 設定を勝手に拝借してきました(ぉい)スラカ&ニモカの兄妹設定。
 でも種族が違うので、多分腹違いか何かが有力候補(ぇ)
 ニモちゃんは丸々エルフ。スラカくんは半分エルフが混じってたりして。
 
 ぺくたんへ。
 勝手に設定もっていきました。
 ごめんなさい…。