六、 門の外は、先ほどと変わらない風景が広がっていた。 逃げるモンスターを追うようにして倒している少年や 少し距離をとり、弓や銃などの武器で攻撃している少女。 戦いの後、傷を負ったメイトにハーブをすりこんでいる者もいる。 「よし、いくぞ…!」 手の中の細剣を振り上げると先ほどの敵、ドラコアに向かって 振り下ろす。不意を疲れたドラコアは、スラカの攻撃をまともにくらい 吹き飛ばされた。体制を立て直して攻撃を仕掛けてくるドラコア。 角の体当たりを剣で受け止めながら、スラカは後方にいるバードコアを見やった。 バードコアは、動かなかった。いきなり自分の主人がかつての仲間と戦い始めたのだ。 メイトにも感情はある。今のバードコアの心の中は、戸惑いの色でいっぱいなのだろう。 嫌なら無理に戦えとは言わない。むしろ、言う方が酷というものだろう。 「俺だけでなんとかするしかないか」 再び敵のほうを向き剣を構えなおすが、その時にはもう遅かった。 敵の姿が眼前にせまり、気がついたときには身体が木に叩きつけられていた。 「う…ぐっ」 一瞬息がつまり、次にはげほげほと咳き込んでいた。 そこに、敵の牙が迫る。このままやられるのか、また負けるのか。 「…あれ?」 衝撃は、いつまでたってもやってこなかった。 しかも、自分と敵の間に立っているもの。あれはもしかして… 「バードコア?!」 どうして彼が?同胞と戦うのは嫌だと後ろの方にいて 少しも動かなかったのに。バードコアは必死に戦っていた。 確かに、同胞と戦うのは苦しいだろう。でも、彼にとっては せっかくできた主人を失うこともまた苦しいこと。 だから戦うのだ、大切な主人を守るために。 「あいつだけに、戦わせるわけにはいかないな…」 スラカは身体を持ち上げた。力の入らない腕で全体を支え 足を地につけなおして体制を整える。そのまま足を蹴り上げると 助走のついた身体は敵に突っ込んだ。 「はぁ…!」 すれ違い様に敵の急所に剣の一撃を入れ、そのまま隣をすり抜ける。 土煙をあげて身体が静止、無理をした身体はそのまま地面に倒れこんだ。 動かない首を敵のほうへ巡らせる。あいつは?無事なのか。 バードコアは、倒れて動かない同胞を見つめていた。 その身体が消えて、土へとかえるまで。 お、重…。いいのか、出だしの話がこんなんで。 文章はそれなりに繋がっているとは思うけど話が…。 さて、次で終わり。長かった…。本当はこんなに暗い話に なる予定はなかったんですが、時が流れればまた話も変わって くるんですね。