長い夜

 年に一度、冬至というものがある。
 それは、一年の中で一番昼が短い日である。
 いや、昼が短いという表現はおかしい。
 一日の時間配分は同じで、日が短くなるのだ。
 太陽がいつもより遅く顔を出し、そしていつもより
 早く沈む。夏はその逆で、夏至というものがある。
 冬という季節は元々夜が長い。日が落ちるのが早いのだ。
 その分冷え込むので、この季節は風邪をひく者が多くなる。

 「そのためには、身体を温めることが大切だよねぇ?」

 どすんと派手な音をたてテーブルの上に置かれたのは一升瓶。
 すでに酔っているような独特の口調。そして酒の匂い。

 「ベリルさん、何やってるんですか…」

 カロールは読んでいた本から目を放し、にこにこと笑っている
 ベリルの方を向く。

 「んー?いやぁ、最近風邪がはやっているだろう。
  この風邪がこれ以上広がらない為にどうするかって、僕は
  考えたのさ〜」
 「それでお酒ですか?」

 後を引き継ぐようにして言ってやると、にっこりと笑顔が返ってきた。
 音がしたときから…いや、この男が部屋に入ってきたときに気づくべきだった。
 
 「んふふふ〜、わかってくれてるみたいだねぇ。
  僕は賢い子は好きだよ〜?」

 あぁ、やっぱり…。あたりに酒の匂いを振りまきながら、自分の方へ
 近寄ってくるベリルに眩暈を覚える。酔っているのはわかった
 十二分にわかったから、見逃してはもらえないだろうか。

 「ん〜?だぁーめ」

 語尾には愛情たっぷりハートマーク。顔にはスマイル0円を張り付かせ
 手には一升瓶。ルビイあたりが見たらきっと大喜びするだろう。
 カロールはため息をつくと、これから自分の身の降りかかるできごと
 を受け入れようと、覚悟を決めたのだった。


 ・・・あとがき・・・
 ぺくたんへ。

 この後が見たいなら個人的に続きを送りますので
 ゆうて下さいませ。