桜吹雪 「あっつい…」 季節は春。気候は冬に比べてずいぶんと暖かくなり 花々は咲きほこる。木々は若葉を茂らせ、次に来る季節を 心待ちにしている。そんな季節、春。なのに… 「どうしてここは砂ばっかりなのよー!」 砂漠の街、トレセド。今春夜がいるのはその中心部。 トレセドの気候は1年を通して暖かい。…というより暑い。 暦で言うなら春。他の街は厳しい寒さに耐えた植物達が 美しく花を咲かせているだろうに、ここはいつもどおり砂ばかり。 「砂漠なのはわかるんだけどさぁ…」 もうちょっと春らしいものっていうか、なんと言うか…。 「桜とか咲いてくれてもいいのに」 無理な話である。大体、ここでは桜の苗を植えても育たない。 気候があわないのだ。 「ルデースに帰りたくなってきちゃったなぁ」 彼女の故郷はルデース。自然と共生している街。 冬は他の街以上に雪に閉ざされるが、暖かくなり雪が溶けると それをまっていたかのように色々な植物が育ち始める。 そんな植物の中で彼女が一番気に入っているのが桜の花。 枝いっぱいに淡いピンクの花を咲かせる姿は息を呑むほど美しい。 花が散る時もまたしかり。落ちる花びらが太陽の光を反射して きらきらと光る。春夜は、それを見るのが好きだった。 「よし!ちょっくら里帰りしてこよっ!」 思いついたら即行動、これが春夜のモットー。 手ぶらじゃさすがにカッコがつかないから 途中でお土産代わりにコアでも拾って。 それでもまだ桜には間に合うだろうから。 お弁当とお茶を持って。 丘に上って眺めよう。 ひらりと散る、春の名物。 今回の主役は春夜ちゃんでした。 ちなみに春夜ちゃん、MM内ではロゼ前に居座ってます(笑) 桜の花びらが散る描写は、スラカが中学の時学校脇の 道で見た風景です。今でも忘れられません。