卵を焼いて、きゅうりとハムを切って 麺を茹でて… ・スラカさん家の冷やし中華・ 「スラカ、冷やし中華早めによろしく」 「へ…?」 というわけで。俺、スラカはルデースの奥地にある一軒家にいる。 ルデースはエルフが作った街らしく、マジリタやメクリタなどどは違い 自然の中に街がある。自然を愛するエルフらしい街だ。 で、なぜ俺がこんなところにいるのかというと…。 「スラカー、まだー?」 「あー、はいはい。今作ってるよー」 これである。俺は、ルデース奥地の一軒家で冷やし中華を作っているのだ。 ことの始まりは…まあ俺なんだけど、まさか本当に作る羽目になるとは。とほほ…。 「あ、スラカ」 「ん?」 「姫もくるから、2人分な」 「…あいよ」 俺に冷やし中華を作ってと言って来たこの人は俺の友人で、名前をくぉりてぃという。 くぉちゃん、と俺は呼んでいる。そして、くぉちゃんが言っていた姫という人物。 本名を美月姫といって、中華飯店というギルドのマスターをやっている。 ちなみに姫タンも俺の友人になるわけだ。 「で、姫タンいつくるって?」 卵を焼きながら、リビングにいるくぉちゃんに声をかける。 「んー、そんなに時間はかからないみたいだから。もうすぐ来るんじゃない?」 話しながらでも、卵は焦がさないよう慎重に、と…。 「んじゃ、姫タンきたら麺茹でるか」 「あんまし早く茹でると、麺のびるしな」 「そういうこと」 フライパンをひっくり返し、お皿に焼いた卵をのせる。 しばらくさましておこう、今切ると熱い…。 「おし、次はきゅうりと…」 −コンコン ハムを切ろうとしたところで、聞こえたノック音。 「くぉちゃん、姫タンきたんでない?」 「かもな、ちょっと見てくるわ」 ぱたぱたという足音が遠ざかっていき、しばらくすると 2人分の足音が聞こえてきた。 「ちゃお」 「お、いらっしゃい」 姫たん到着だ。 「くぉたんから聞いたんだけど、スラカたん冷やし中華作ってくれるの?」 「今作ってるよ。もうちょいだから、これでも飲んで待ってて」 そう言って出したのは冷たい麦茶。この気温だ。森の中にある街とはいえ かなり暑かったに違いない。すでに一杯目を飲みほしていたくぉちゃんには おかわりをあげて、俺は麺を茹でにかかった。沸騰したお湯に麺を入れ 茹でている間に盛り付けようの野菜類を切る。 「そろそろかな…」 火を止めて麺をザルにうつし、水をきる。 氷を敷いた器に麺をのせ、切った野菜類を盛り付けていく。 「できたよー」 先に作って冷蔵庫で冷やしておいたタレ(?)と一緒に盆にのせ 2人のところまで持っていく。 「おー」 「いただきまーす」 どうやら、2人とも満足してくれたらしい。 嬉しいことなんだけど、次にまた何かがきそうで 少し怖かったりもする…。けど、喜んでくれるならいいかな。 もう8月も終わり。少しずつ涼しくなってはきてるけど まだまだ油断は出来ない。 どうぞ元気で、残りの夏を乗り切ってください。 残暑お見舞い申し上げます fin...