鈴虫の声 ーリーンリーン 「…あれ?」 秋になると聞こえてくる虫の声。 今は秋真っ盛りで、別に不思議なことではないのだけれど。 「砂漠にもいるのか…?」 そう、ここは砂漠の街ヘルセバ。 街の外へ行けば、わからないこともないのだが あいにくここは街の中。砂漠で鈴虫が鳴くなんて 聞いたことがない。 「誰かが飼ってるのかな」 もう一度耳をすませてみた。リンリンと綺麗な鳴き声がする。 音が近い。すぐ傍にいるのだろうか? 「多分、こっちの方…」 泊まっている宿の床をギシギシいわせて声のする方へ行ってみる。 声の主は外にいるようだ。その辺の窓から宿の庭を覗いてみる。 そして、固まった。 「……」 声が出ない、とはまさにこういうことを言うのであろう。 窓の外にで、鳴いていたのは鈴虫ではなくヘッドビート。 しかも、大量に…。ちらちらと光っているのは魔方陣だろうか? ということは、怨ビートも混じっているのだろう。 「こ、こわ…」 たくさんの虫たちが暗闇の中で鳴いている。 姿は見えず、声だけしか聞こえない。 ああ綺麗な声だな、と和みあるいは癒されるのが普通 なのだろうが、これはいただけるものではない。 「…」 スラカは無言でその場を立ち去った。 そして翌日、宿の主人に昨夜の悪夢の事をさりげなく 聞いてみるとこんな話が聞けた。 「昔うちで飼ってたやつなんだがね。ある日突然いなくなっちまってなぁ。 そうかぁ、毎日きてくれてたのかぁ」 嬉し涙など流している宿の主人に無言で金を渡し スラカは足早に宿を出た。虫の管理くらいきっりししておけよ。 この日からしばらく、スラカは大量の虫に襲われる夢を見るのであった。 めでたしめでた…し? めでたくないです(爆)もっと真面目な話を思いつかないのか。 どうしてこんなんばっかになっちゃうんでしょうね(苦笑) 大量のヘドビ。こらトラウマになるわ…。 想像しないことをオススメします。