眩しすぎる太陽


 「なぁなぁ。俺たち、初めて会うよな」

 そういって笑った顔は、太陽そのものだった。
 輝く金の髪に赤い色の瞳。大きな瞳に感情をうつし
 小さな身体でそれをいっぱいいっぱいに表す。
 兄のはずなのに、どうしても自分より幼く思えてしまう人。
 実際幼いし、内面的にも外見的にも自分の方が成長している。
 大人に見られることは悪くはない。むしろ、気分がいい。
 逆に兄はいつもいつも子ども扱いをされて、それに怒ってまた
 子ども扱いされて、しまいにはすねてしまう。そして、自分の事を
 羨ましいと言う。別に不満なんてないはずだった。不満があるのは
 兄の方だったから。なのに…。

 「俺は兄上が羨ましいよ」
 
 そう、自分はこの兄が羨ましい。身体は小さいけれど、これから
 成長していくだろう。剣も魔法も今は自分の方が上だけど、そのうち
 抜かされるに違いない。身体の弱い自分と違って、いくら走っても
 疲れることのない。そんな体力が自分にもあればよかったのに。
 兄は自分にとって太陽で。自分の足元を明るく照らしてくれるけれど
 それは眩しすぎる明かり。眩しすぎて、周りが見えなくなる太陽。
 兄はこんなに近くに居るのに。

 「どうして、手が届かないんだろうな」

 本当はすぐに届く距離。いつも隣にいて、笑いかけてくれる。
 
 「でも、その笑顔が眩しすぎるんだ」

 手ですいた髪は、太陽の光を反射してきらきらと光っていた。


 

 一人語り万歳(まて)