うみ 「ねーねー、プラチナ」 「ん?なんだ兄上」 「これ、何?」 奈落王とその宰相は城の一室で読書中。 兄に服を引っ張られたプラチナは、アレクが指している 写真へと目をやった。綺麗な砂浜と青い水が写っている。 「海…だな」 「うみ?」 奈落王。大きな目をくるりとまわし、興味しんしんの様子。 さて、どう説明したものか…。敬称戦争時代、ジェイドに言われて 読んでいた本で見たことがあったはず。もちろん、実物は見たことがないのだが。 「水が、すごくたくさんあって…」 「うん」 「それがどこまでも続いていてだな…」 「うんうん」 「その水は、塩辛いらしい…」 それだけ?海の特徴はそれだけか? それでもふーんと納得するアレクに、お茶とお菓子を持ってきた サフィルスが苦笑した。 「海っていうのは、地上の生き物が生まれた所なんだそうですよ」 「ようするに、お母さんってことですね」 ジェイドの言葉が付け足された。首をひねる王と宰相に サフィルスが分かりやすく説明する。 「ジェイドたちは、海見たことがあるのか?」 「そうですねぇ…。俺たちはここにくる前 いろいろな所をまわってましたから。その時に何度か」 「どうだった?」 アレクがソファから身を乗り出す。プラチナも興味深そうに ジェイドのほうを見ていた。 「どうって…」 「綺麗でしたよ?ジェイドなんか、私が行きましょうって言っても 聞く耳持たずって感じでしたし」 ジェイドがサフィルスを睨みつける。目が後で覚えてろよと語っていた。 サフィルスはくすくすと笑い、ジェイドにお茶のおかわりいかがです? とポットを持ち上げた。 「一度見てみたいなぁ」 ジェイドが見惚れる程なんだし? 「そうですねぇ。まとまったお休みが取れたら、皆で行って見ましょうか」 「いつになるんだ、それは…」 「アレク様が真面目に仕事をしてくだされば、すぐにでも行けるんですけどね」 「むーっ、頑張ってるけど中々終わらないんだからしょうがないだろ!」 「まぁまぁ。もう少しなんですから、頑張ってください?」 ジェイドにかみつくアレクをサフィルスが宥める。 今の奈落は王であるアレクの力が安定しておらず、不安定なのは事実。 各地で堕天使が猛威を振い、部下を伴って王自らが討伐に出ることも 多かった。 王と宰相、この2人がそれぞれの参謀と一緒に海に行くのは もう少し後の話。そのころには、奈落も今より安定していることだろう。 自己満足の産物第2弾。いやぁ、書こうと思うと中々書けないものですね。 結局何が言いたかったのか…。テーマが、テーマがないよっ! アレクの参謀はサフィルス、プラチナの参謀はジェイド。 4人が一緒にいると、きっとアレクとジェイドの言いあいが堪えないと思います。