ールデース トレーナー前

 ルデースは、エルフが作ったといわれている、緑に囲まれた
 美しい街。その一角。
 「ミックスしたいんですけど・・」
 「はい。では、こちらの台の上にコアを乗せてください」
 ルデースのトレーナーは、他の街とは少し違う。
 やはり、エルフが作ったからだろうか。
 エルフは自然を愛する種族だ。ルデースの建造物は
 どれも自然と一体化したような作りになっている。
 そして、どれも美しい。
 「自然を愛するエルフだからこそ、できたんだろうな…」
 建物も、そしてこの街も。
 コアをのせた台の蓋が、ゆっくりとしまっていく。
 機械が動き出し、しばらくあたりに機械の音が響いた。
 ふと、機械の音がやむ。ミックスが終わったのだ。
 蓋がゆっくりと開いていく。目的のものはできているのだろうか。
 失敗してもコアが消えることはない。しかし悲しくはなる。
 蓋が完全に開く。そこにいたのは、一匹の獣。
 ミックスは、成功したのだ。
 「ハイトーラ…」
 自分が呼ばれたのがわかったのだろうか。
 ハイトーラは台から飛び降りると、スラカの前でお座りする。
 足元に、輝く魔方陣が見えた。その身体に触れてみる。
 毛並みに沿ってなでてやると、気持ちよさそうに目を閉じた。
 ハイトーラはそのまま身体を伏せると、眠り始める。
 「あれ?ハイトーラ?」
 「眠って体力を回復しているんでしょう。
  大丈夫、時間がたてば目を覚ましますよ」
 静かに、しかし優しく言ってくれたのは傍にいたトレーナーの
 お姉さん。
 「そっか…。じゃあ、こいつ起きるまでここにいてもいいです?」
 「かまいませんよ。ここは人も少ないですし、今日はお天気もいいですから
  ゆっくりしていってください」
 「はい、ありがとうございます」
 ハイトーラの隣に腰を下ろし、背中のあたりをなでてやる。
 毛がふわふわしていて気持ちが良かった。
 「名前、考えなきゃなあ」
 この子に似合う名前はなんだろう。目を覚ましたら
 とりあえずこの子を連れてトレセドにでも行ってみよう。
 誰かに相談してみるのも、いいかもしれない。

  
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