氷の線路    

  目を開けると、そこに立っていた。
  いや、浮いているといったほうがいいかもしれない
  
 「え、ちょ、なんで…!?」
 
 目の前には線路。見た目は普通の線路。しかし、氷製。
 本来鉄で出来ている2本のレールも、その間にある木の部分も
 全て氷で出来ている。試しに後ろを向いてみると、こちらは普通の線路。
 普段電車に乗るときに、嫌というほど見ているあれ。私は丁度その境目
 に立っていた。あたりには満天のお星様。そして、一応足はついているが
 地面を蹴れば浮き上がりそうな私。

 「宇宙空間か!」
  
 そうか、ここは宇宙空間だったのか。なるほど。しかし、宇宙空間にいるには
 宇宙服を着なければいけないはず。着なくても大丈夫な宇宙?腕を組んで考えてみる。
 しばらく、頭を捻ってうなってみて出た結論は。
 
 「…いいか、面倒だし」

 別に困ってないし。地面を蹴りながら、ふわふわとした感覚を楽しむ。
 重力が弱いらしく少し蹴るだけですぐ足が離れる。服などの軽いものは
 じっとしていても始終ふわふわしていて、なんだか水の中にいるみたいな間隔。
 少しだけ気持ちがいい。しかし、ずっとここにいるわけにもいかず、私はもう一度
 周りを見回してみた。

 「足元、線路。周り、星」  

 氷の線路を見ても先は真っ暗。普通の線路を見ても、先は真っ暗。 

 「うん、何もない」

 さっきとあまり変わらない結論だけど、ほんとに何もないんだもん。
 でも、そうだなぁ…。どっちに行くかときかれたら…。

 「こっち、かな」

 私は普通の線路の方を向く。だって、氷の方はいかにも冒険に出ます
 って感じ出し。私だって一般人。この状況でどっちにいくのかと訊かれれば
 できるだけまともな物の方に進むに決まっている。…まぁ、どっちもまとも
 っぽく見えるときは、勘で決めるしかないんだけどさ。

 「さ、鬼が出るか蛇がでるか…」

 私は普通の線路へ足を踏み出した。不安があるといえばあるのだが、何事も進んでみないと
 はじまらない。なんだかんだと今の状態に不平を言う暇があれば、とにかく動いてみる
 これが私のモットーである。



 おおっと、まさかの展開だ。続きます。



 next