氷の線路 2 私は歩いている。歩いているのは線路の上。 昔見た本に、主人公が線路の上を延々歩いていくという内容が あった。 「こんな感じだったのかなぁ…」 気分はまさにその小説の主人公。でも、私の場合 好きで歩いているわけではない。主人公との大きな違いだ。 「それに、こんなふわふわしてるところじゃなかったし」 主人公が歩いていたのはごく普通の線路。私が歩いているのは 重力がとっても弱い空間にある線路。これも大きな違いだ。 「それにしても…」 景色が変わらない。いくら歩いても、見渡す限り線路と星。 これはこれで綺麗なのだが、長時間見てているとさすがに飽きてくる。 まぁ、よくみるとそれぞれ違う感じだし、面白いといえば面白いんだけどね。 「青に赤に…」 歩きながら、上を見上げてみる。青く光っているもの、赤く光っているもの 星のことはわからないけど、すっごく綺麗なんだ。 「こんなだったら、授業真面目にきいておくんだったなー」 星座は誕生月の星座しかわからないし、どの星とどの星をつなげばわかるのか。 自分の星座さえも、どこにあるのかわからない。いっその事、新しい星座でも作ってしまうか。 うん、それがいい。そうしよう。歩くのをやめ、じーっと空をながめてみる。 思ったことは即実行。思い立ったが吉日ってね。 「あれと、これと、それと…あ、あれもいれたらどうなるかなー」 目に付く星を選んで、適当に繋ぎ合わせてみる。どんな形になるのかは できてからのお楽しみ。何かの形になるっていう補償はゼロ。名前は、できた 形をみてから決める。何作るかで迷ってたら時間がかかるし、こだわってたら なんか色々縛られそうだし。何より私が嫌いだからやりたくない。 そういえば、星ってすっごい光ってるのとあんまり光ってないのがあるよね。 なんでだろ…。 立ち止まって星を眺めて繋いで。始めは、いつまでたっても駅が見えてこないが いい加減嫌になってたけど、星を眺めてたらそんなのはいつの間にかどこかにいってた。 星の名前なんかわからなかったから、自分で考えてつけた。誰もこない、誰にもあわなかったけど 一人ってのも中々いいものだと思った。 主人公の一人遊び。今回、結構長くなりそうだな…。 back next