氷の線路 3


  星を結び星座を作り、名前をつけを繰り返していた私だが
 再び前を向いて歩くことにした。だって、首が痛くなったんだもん。
 首の後ろに手を添えて、ゆっくりと元に戻す。

 「痛い…」

 …戻しても痛かった。首は、長時間上に向けておくものではないと、身をもって
 体験した。それでも、痛いのを我慢してゆっくりと動かす。しばらく動かしていると
 少しマシになった気がした。私は再び歩き始める。目的地を目指して。上を向いていて
 首が痛くなった。この責任は、とってもらわねば…。
 
 「待ってろ責任者!」
 
 びっと前を指差す。指の先には、暗闇しか広がっていなかったけど、そんなことどうでもいい。
 とりあえず駅を見つけよう。線路があるんだから駅だってあるはずだ。…って、あれ?

 「電線、ないじゃん」

 電車は電線がないと動かないということを、お兄ちゃんに教えてもらったことがある。
 ってことは、ここ走ってるのは汽車?レトロなんだなぁ。宇宙空間なのに。…まあいいや。
 新たな発見をしたことにはかわりがない。むしろ、これで俄然やる気がでてきたといってもいい。
 よしっと自分に気合を入れ、前を向く。

 「あれ」

 そのとき私は見た。何かが遠くの方で光っている。駅って感じじゃないし、近づいてきてるし。
 まさか…。

 「蛍!?」

 なんと、宇宙空間には蛍までいるのか。しかもかなり大きい。やっぱり、宇宙みたいな特殊な
 環境だと、育ちもいいのだろうか。って、ことはだ。

 「私も、大きくなるのかな」

 自分の手を見、身体を見る。これが、大きくなる…。

 「私が巨大化…」

 宇宙の平和を守るため、迫り来る悪のエイリアン達と戦うのか。
 
 「やだ、そんなのめんどくさい…!」

 それに、大きくなったら家に入れない。ご飯も寝るのもみんな外。
 夏は暑くて冬は寒い。身体の健康にはいいかもしれないが、精神の
 健康にはとっても悪い。

 「絶対嫌」

 育ちすぎに要注意だ。



 私が下を向いてそんなことをもんもんと考えている間に、それはそこまで
 迫っていた。そして、私はあの子に声をかけられるのだ。

 
 「お姉さん、何してんの?」


 と。




 主人公はバカです。ボケです。放っておくと、ボケにボケを積み重ねていくタイプです。
 やっと主人公以外の人が出てきてくれました。私の代わりにおおいに突っ込んでやってくれ。


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