「お、姫ちゃんきたかな」

 テレビを見ていた宗秦が、客を迎え入れるために
 玄関に向かう。やがて、玄関から賑やかな声が聞こえてきた。

 「ちゃお」
 「はろ〜」
 「ばんわ」
 
 それぞれに挨拶をしながら部屋に入ってきたのは
 美月姫、デーモン、くぉりてぃの3人。

 「ほら、早くこいって」

 と、後1名。

 「春夜、お前の招待客もきてるぞ」
 「そこで会ったから、一緒に来たの」
  「え?きたんだ、あいつ」
 「きたんだはないだろう、呼んだのはそっちなのに」

 苦笑いする客人に、春夜はくすりと笑った。

 「いらっしゃい、醒」
 「で、スチャラカは?」
 「あぁ、スラカならキッチン」
  
  スチャラカというのは、くぉりてぃ流スラカの呼び方である。
 ちなみに、ニモカは毒もなか。呼び名が本当に本人の性格にあっているだけに
 誰も何も言えない。

 「どれ、ちょっと様子を見てこようかな」
 「あ、うちも〜」

 くぉりてぃの場合様子を見るというのは建前で、きっとスラカを
 からかいにいくのが本命なのだろう。

 「スチャラカ〜、からかいにきてやったぞ」

 ほらやっぱり。

 「からかいにって…とりあえずいらっしゃい。くぉちゃん」
 「うむ。結構出来てるな」
 「そうだね、あとは鰤さばくだけかな」
 「鰤もあるんだ〜」
 「うん、年越し年明けにはやっぱりこれでしょ」
 「楽しみにしてるぞ(にやり)」
 「おうともさ(にやり)」
 「あ、スラカ氏」

 にやり笑いで互いの意思の疎通を図る。
 が、デーモンの呼びかけで意識はそちらに向いた。

 「ミズクたちにもソバあげたいんだけど」
 「あ、いいよ〜。どうせうちにはキルカもいるし
  宗はスンスン連れてきてたし」

 宗秦のスンスン。名前は宗のまくら。野宿用に
 いつも連れているというのだが、ネーミングセンスのない
 名前だと聞くものは皆思う。

 
 back     next