マスターは姫さんたちと別れた後、今度はトレセドの端の方へ向かった。
 そこに地下ダンジョンがあるのだという。最下層は地下9階。下へ行けば行くほど
 敵は強くなる。中に入ると、モンスターがいっせいにボクたちに襲いかかってきた。
 「走るぞ、キルカ」
 マスターに言われて、ボクはかけだした。どうやらモンスターが襲うのは人だけらしい。
 ボクたちみたいなメイトは、こっちが手を出さない限り大丈夫だった。 
 襲ってくるモンスターを倒し、地下への階段をおりていく。
 地下7階まで来ると、部屋の奥に人が立っていた。
 「やぁ、スラカ君」
 「こんにちは」
 相手に会釈を返しながら、マスターは1枚の紙を渡した。
 これは、入場券。8Fに入るには、この入場券が必要になる。
 「今日は、育成?」
 券をうけとり、入り口をふさいでいる瓦礫の山をどかしながら
 訊いてくる。マスターはそれを手伝いながら、あいつのレベル上げなんですと
 ボクを指した。
 「そうか、頑張ってな」
 「はい、いってきます」
 ある程度はどけているものの、完全とは言えない瓦礫の山。
 ロゼッタで一番危険なのは9階なのだが、これから行くのは
 それと同じくらい危険な場所。心なしか、マスターの表情が固い。
 剣を持つ手に力が入った気がした。







  back  next