三、

 
 ぽかぽかと暖かい街道。
 そこに生息するモンスターの群れ。
 そのなかに、倒れている人間が一人。

 「う…」

 スラカだった。

 「体当たりがあんなに強いなんて聞いてないよ!」

 地に這いつくばったままの状態で、力の入らない手足をバタバタとさせる。
 悔しいのは分かるのだが、何を言っても負けたものは変わらない。
 とりあえず、街に戻ることにした。


 
 「はぁ、ひどい目にあった」

 街の外と中を隔てる壁、その傍に腰を下ろしながら息をついた。
 先ほどスラカと対戦したのはドラコア。角を持った、ドラゴン系の
 コアである。

 「途中まではよかったんだけどなぁ」

 そう、途中まではうまくいっていた。
 それなりにダメージはうけていたものの、残りの体力はおそらく自分の方が上。
 この調子でいけば勝てる、そう思った瞬間。

 「へ…?」

 気がつくと、仰向けに倒れていた。何故か身体に力が入らない。
 首を動かし周りを見てみると、さっきまで勝負していたドラコアが
 ヨロヨロと去っていくのが見えた。


 あぁそうか、自分は負けたのか…

 
 その後、身体を引きずりながら街に戻った。
 ほとんど匍匐全身の状態で街の中へ続く門をくぐる。
 ずりずりと音を立てながら帰還したプレイヤーを見た門番2人は
 その様に驚いて慌てて肩をかしてくれた。人が多いところでは
 休むに休めないだろうと、入り口から少し離れたところに下ろしてくれる。
 苦笑しながら礼の言葉をのべるスラカに門番二人は、また後で様子を見に来ますから
 とだけ言い残して、自分達の持ち場へと戻っていった。
 上を向き、目を閉じる。急に眠気がおそってきた。
 気候はぽかぽかとしていて暖かく、空には雲一つない快晴。
 そよそよと風が吹き、優しくスラカの髪を揺らした。

 
 
 負けてもいい。頑張った上で負けたのなら、ゆっくり身体を休めて
 次に備えよう。次は負けないように、次は勝てるように。
 自分が努力した上での"負け"はただの負けではく次に勝つための負けなのだから。



 

 おや…?前の三話と少し違います。特に最後の文章!
 前回は、こんな文章なかったですよねぇ…。
 それもそのはず、打ち直しをする際に思いつきで書きました(マテ)
 小説というのは、その時その時によって思いつく文章が違うんですよね。
 だから、書き直すたびに文章が変わってしまうんです…。
 ちなみに、前回の最後の文章。

 この時、スラカが街に戻れたのはこの2人のおかげ。
 本人達にとっては何気ないことでも、その何気ないことが
 プレイヤー達を強くしていくのだ。

 ですね。原稿を見てみると『NPCも頑張ってるんだよ』と書いてありました(笑)
 



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